人気ブログランキング | 話題のタグを見る

今を生きる私たちが、未来の子どもたちにどんな千葉を引き継ぐことができるか、一緒に考えることができれば嬉しいです。          


by bakin_yume

ラムサール条約と三番瀬 (講演会)

7月28日、三番瀬を守る署名ネットワーク主催の講演会「ラムサール条約と三番瀬」が和洋女子大でありました。

 三番瀬を守る連絡会代表世話人から 三番瀬の現状の報告が、釧路公立大学環境地理学小林教授からは7月に開催されたラムサール条約COP11についての報告がありました。私は仕事を終え、急ぎ駆けつけましたが、途中からになり少し残念でしたが、参加でき、良かったです。そして、自然を残したい、一人でも多くの人に知ってもらいたいと あらためて思いました。

 【三番瀬の現状】
 ①三番瀬に新たな埋め立てをする計画は2001年9月に中止になりましたが、猫実川河口付近を人工干潟 にし、第二湾岸道路を通す計画は存続。市川市では、人工の護岸造成を進めている。
 ②三番瀬は干潮時には 天然カキ礁と干潟が現れ、県のレッドデータブックに掲載瀬レている絶滅危惧種も 確認されている。特に猫実川河口域の底質はトロスキーができるほどの泥分が高く、三番瀬の他の地域が 砂質であるため、得意な生態系を形成している。
 ③2011年3月11日の東日本大震災により、県が2月に行った深浅測量調査によると、  水深0メートル以浅の干潟面積が54%減少していることが分った。
  「自然環境への影響という点では、震災よりも埋め立てや人工改変の方がはるかに大きい」
 ④ラムサール登録について、「三番瀬を守る署名ネットワーク」は3月に三番瀬ラムサール条約登録を求め る署名14万2019人分の署名を森田千葉県知事に提出しましたが、県の消極的姿勢は変わらない。背後  に第二湾岸道路建設計画があるから。
  ラムサール条約の本来の目的は、「水鳥等の生物にとって価値の高い湿地を国際的に保全することを目 的としている。 条約の締約国は、登録湿地はもとより国内全ての湿地の保全が義務付けられている」
 今回COP11で登録された日本の湿地は、 大沼(北海道)、渡良瀬遊水池(茨城・栃木・群馬・埼玉県)、立 山弥陀ヶ原・大日平(富山県)、中池見湿地(福井県)  ・円山川下流域・周辺水田(兵庫県)、東海丘陵湧  水湿地郡(愛知県)、宮島(広島県)、荒尾干潟(熊本県)、与那覇  湾(沖縄県)
 「生物多様性保全活動推進法に関する意見交換会」(2010年1月)「危機にさらされている場所の生物多様 性保全やラムサール条約登録を環境省が主体性をもって推進してほしい」との発言に対する環境省の答弁 は「地域主権・地方分権の観点から、開発を規制したり、生物多様性保全などを強制したりすることは困難」

 千葉県太平洋側の九十九里浜ではコンクリートによる人工岬「ヘッドランド」が進み、自然環境や生態系が  破壊されている。県の担当者は「生物多様性よりも公共事業の方が重要」と。
  
  東京湾の原風景を残す盤洲干潟も開発の危機にさらされている。

  先回の第10回ラムサール条約締約国会議において、ラムサール条約科学技術検討委員会の議長の娘さ んの「私が大人になったらほとんどの湿地が残されていないんじゃないかと心配になっちゃった」という感想 があったそうです。

三番瀬の貴重な住民                            日本最大級の自然の砂質干潟
ラムサール条約と三番瀬 (講演会)_a0247884_21555596.jpg
ラムサール条約と三番瀬 (講演会)_a0247884_2212483.png

                      








 
(以上、三番瀬を守る連絡会代表世話人の説明・資料より要約)


【ラムサールCOP11の成果を国内で活かすには】
 小林教授:釧路公立大学自環境地理学 元ラムサール条約事務局アジア・オセアニア地域担当
 の小林教授は、昨年5月に盤洲干潟見学会の翌日にかいさいされたシンポジウム「日本の湿地を守ろう!」 で「ラムサール条約ルーマニア会議(COP11)に向けて」と題して講演されています。

 講演の中で私が印象深かったのは、成果と今後の取り組みとして、湿地のワイズユース(賢明な利用:湿地 を保護しながら持続可能な方法で利用することで、湿地とその資源から人類が利益を得る)についてです。 これは ラムサール条約の 中心概念であり、昨年の講演でも説明されていました。地元にとっての湿地の 価値観と経済効果、これこそ、環境省の言 われる「地域主権、地方分権の観点から開発を規制したり・・・  云々」に対して 糸口になるのではと思います。

 ラムサール条約と三番瀬 (講演会)_a0247884_22323370.gif

また、驚いたことは、タンザニアのセル―動物保護区(世界遺産)は、ウラン採掘のため、200平方㎞(釧路 湿原と同じ ぐらい)を世界遺産から解除したとのこと。資源の確保については、最近では日本近海でも領  土(領域)問題が飛び交って いますが、人間はどこまで貪欲なのでしょうか。



 最後に、環境省・千葉県・市川市・浦安市・船橋市・習志野市に対しての声明文(案)に賛同して閉会しまし  た。

 郊外の自然はどんどん人工的な手が加えられ、特に観光地は人工的に整備され、また、住宅地の開発が進むと 綺麗に人工的に整備された公園が造られ、虫やカエル等を避ける大人、毛嫌いする子どもたちが増えている現実を見ることがあります。そういう場面を見ると、私は未来の子どもたちに地球本来の豊かな自然をどれだけ残していけるのか、また、残してよいのか、立ち止まってしまいます。しかし、それは、未来の子どもたちが判断することであり、私たちは今残されている自然、本来あるべき地球の姿をしっかり後世に残す努力をすべきだと思います。そのために 何をするべきか、私は、一人でも多くの人に知ってもらいたい、そして、考えてもらいたいと思っています。

 また、日本は、ラムサール条約に今回の9か所をいれ、46か所が日本でも登録されています。ということは、ラムサール条約の目的からすれば、登録されていない湿地に対しても保全が義務付けられているということですので、三番瀬も当然、保全しなければならないと思います。

 次回は、2015年 南米のウルグアイが開催予定です。その時にはぜひ、千葉県民として、三番瀬だけでなく、盤洲干潟を含む東京湾の干潟の登録を目指したいですね。
 

by bakin_yume | 2012-07-30 21:36 | 自然