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今を生きる私たちが、未来の子どもたちにどんな千葉を引き継ぐことができるか、一緒に考えることができれば嬉しいです。          


by bakin_yume

青葉の八ッ場①

5月25・26日、群馬県の八ッ場ダムに行ってきました。八ッ場ダムは 2年半前の2009年11月に訪れたことがあります。2年半の間に二転三転、振り回された八ッ場は 今、どうなっているのでしょうか。

八ッ場の経緯
・1952年(昭和27年)カスリーン台風級の水害から首都圏及び利根川流域を守るため計画(治水)
・1986年(昭和61年)「八ッ場ダム建設に関する基本計画」2000年の事業工期として策定(以後、何度も延長)
・2008年(平成20年)建設目的に発電が追加。工期は2015年に再延長(工費 4600億円に修正)
・2009年(平成21年) 9月 当時の前原国土交通大臣が八ッ場ダム中止を表明
・2011年(平成23年)12月 前田国土交通大臣が八ッ場ダム建設継続を表明

なんと、計画開始から60年も経っています。

25日は、まず、やんば館で「八ッ場ダム建設関連工事について説明を聞き、現場を案内していただきました。
やんば館は建設中に「十字架」のように見えると有名になった湖面2号橋(現不動大橋)のすぐ下にあります。
ダムができるときにはどこでも同じですが、湖底に沈む地域ができます。そして、そこで生活している方々は移転を余儀なくされます。八ッ場ダムができると、800年の歴史を持つ「川原湯温泉」が湖底に沈みます。
その川原湯温泉の1軒に宿泊しました。(建設現場を見学して宿泊をすると群馬県より助成金が出ます)
川原湯温泉の宿泊数は、ピーク時の1/3になり、代替え地整備が遅れているため、移転もできない状況だそうです。また、現地での再建を断念した旅館もあるそうです。

現地では、湖面上の橋、2号橋(不動大橋)、3号橋(丸岩大橋)は完成し、現在、一番川下の1号橋の建設が始まっています。ダム湖を囲むように山肌を削って、道路、移転のための宅地などが造成されていますが、のり面(山を削ってできた斜面)が 崩れる個所も出てきました。そういうのり面にはアンカーボルトをうち込んでいますが、八ッ場の山々は土壌が酸性のため、その腐食も心配です。

下流域の首都圏16,840㎡、1,200万人の生活者の治水(洪水などの水害を防ぎ、また水の便のため、河川の改良・保全を行う)・利水(農・工・上水道の利用)のため、と言いますが 実際は、どこまで必要なのか、現状を見、様々な関係場所を見てくると(利根川遊水池)、多くの犠牲を払ってまで八ッ場ダムを建設する必要は全くないと思います。また、歴史ある川原湯温泉と吾妻渓谷をはじめとした自然、失いたくないですね。
しかし、すでに、そこに住んでいた方々の生活はダムができる前提で進んでいます。すでに そこから出て行った方々、代替え地に移転して生活している方々のこれからを下流域千葉県の一人として考える責任を感じます。

計画前には戻れません。道路もでき、JRも建設が進み、代替え地での生活も始まっています。ダムを造らなくても、そのままの自然を残し、「ダムを造らなかった八ッ場」としての観光で生きる道があるのではないかと、現地を回って思いました。新しい道ができ、上から眺める自然も美しかったです。

2009年11月と 現在の2号橋(不動大橋青葉の八ッ場①_a0247884_22174456.jpg青葉の八ッ場①_a0247884_2211592.jpg












建設中の1号橋(一番川下)                              3号橋(丸岩大橋)青葉の八ッ場①_a0247884_22291342.jpg青葉の八ッ場①_a0247884_22303124.jpg













川原湯温泉                                      現在の温泉源
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現在も営業中の山木館の露天風呂と眺めた風景(雨でちょっと残念)
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代替え地に移転のため、撤去された旅館跡
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自然に囲まれた湯河原温泉(中央あたり)とコンクリートで囲まれた代替え地青葉の八ッ場①_a0247884_22593797.jpg青葉の八ッ場①_a0247884_2313582.jpg
by bakin_yume | 2012-05-28 22:06 | 公共事業